|
猫は日記をつける (ハヤカワ・ミステリ文庫) 原題:The Private Life of The Cat Who... |
リリアン・J・ブラウン/Lilian Jackson Braun 訳:羽田詩津子 |
ハヤカワ・ミステリ文庫/早川書房(2005/7) |
これまで数々の難事件を解決してきた元新聞記者にして地元の名士クィラランと不思議な推理力を持つ飼い猫のココ。彼らの知られざる日常や、事件の裏エピソードを知りたくはありませんか? 本書ではクィラランがつけている日記の一部をご紹介し、ココとヤムヤムの秘密や、登場猫物紹介、ためになるココの格言など、クィラランの猫たちに対する愛情に迫ります。豪華イラスト入り、全22篇収録のシリーズ番外短篇集をどうぞ (裏表紙より) |
収録タイトル:
- カウ・コウ=クン、鳴きわめきながら登場
- ヤムヤム、金切り声で鳴きながら登場
- 猫についての無知の告白
- ヒゲが六十本ある猫
- 前足のヤムヤム
- ココとシャム猫のロープの芸当
- ヤムヤムとインテリア・デザイナー
- ココとラム・タム・タガー・シンドローム
- 猫! その理解しがたいものよ
- 銀の指ぬきの問題
- 利口なココの暦
- なぜ猫はこういう行動をするのか?
- 猫にはユーモアセンスがあるか?
- ヤムヤムが出ていった日
- 五行戯詩 へんぴな土地の楽しみ(*)
- 利口なココはこうもいっている
- 猫を名づけるすばらしい技術
- ヤムヤムとクイーンサイズのベッド
- ココのユニークな社交上のたしなみ
- 誘拐された!
- 利口なココのさらなる格言(*)
- ヤムヤムが翼を発見する
|
シャム猫ココ・シリーズ 番外編。
『猫は
七面鳥とおしゃべりする』で、著者(!!)のクィラランが語っているように、2匹の
シャム猫との経験を断片的につづったもの。訳者あとがきには、クィラランのプライベートな日記から、ココとヤムヤムに関する記述を抜粋したという形でまとめられた、とある。邦題は『猫は日記をつける』だが、さすがのココも日記まではつけていないらしい。そもそも原題『The Private Life of The Cat Who...』には「日記」なんて入っていない...と思ったら、サブタイトル『Tales of Koko and
Yum Yum from the Journal of James
Macintosh Quilleran』にはちゃんと入っていた。それはともかく、番外編なんだから『猫は...』にこだわらなくてもよかったのでは。
各短編ごとにカバーでおなじみの山城隆一氏の猫イラストが入っている。フルカラーではないため「豪華」といえるかどうかは疑問だが、本編ではまったくイラストがないことを考えれば、猫好きには十分かもしれない。本文の下にはおなじみの足跡も。
内容はシリーズ1作目『猫は手がかりを読む』から25作目『猫は銀幕にデビューする』まで、ココ、ヤムヤムとの出会いから、その後の活躍(?)ぶりをまとめたものや、猫の行動や名前など、猫に関するエピソードばかり。1ページに30文字×14行しかなく、さくさく読むことができるので、猫に飢えている(笑)ときや、ちょっと時間をつぶしたいというときには重宝しそう。
とくに、ココの格言(短編11・16・21)が◎。おもわず笑ったり、うなずいたりしてしまう。やっぱり猫っていいよなぁ。次に生まれてくるときは猫がいい。召使、じゃなくて、飼い主つきの。
2006/3/7記
(*)見返しおよび訳者あとがきでは、次のようになっている。
- 五行戯詩 へんぴな土地での楽しみ
- さらに利口なココの格言